
成績が良いから、教授から大学院へ進学する事を勧められているのだけど、大学院って行った方が良いのかなぁ。まだ働きたくないし、進学しようかなぁ。

理系は修士まではとった方が就職先が良くなります。逆に文系は就職の難易度が上がる方向となります。ただし理系も、修士まで進むと就職先の選択肢は狭まる方向となるので注意が必要です。
こんにちは、つちもぐらです。大学では院まで進み、修士号を取得しました。
大学院へ進もうと思ったのは大学3年の時で、動機としては「まだ働きたくないなぁ。」と、高校時代の友人達の多くが大学院に行くというので「負けたくないなぁ。」という、余り主体性のない理由でした。
この記事では、当時の私自身や周りの友人達の進路を見てきた経験から、大学院に進むべきか就職すべきか、私見を述べさせて頂きます。大学院への進学を悩む大学生の参考となれば幸いです。
ちなみにアカデミックな研究に興味がない、且つ圧倒的にスペックの高い人は、在学中に起業して、軌道に乗れば大学は中退するのが正解だと思います。(スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツ、ホリエモンも大学中退です。)
理系は大学院の修士課程までがお勧め
経済的に許されるのであれば、大学院まで行った方が良いでしょう。理由としては、単純に就職先が良くなるからです。大学は企業への推薦枠を持っていますが、学部生よりも院生の方が優先しても推薦をもらえます。
また大学での研究内容と就職先の仕事が余程乖離していない限り、企業も院卒を優先的に採用してくれます。ちなみに私は、会社の同期の7割が院卒でした。
ただ職種は問わない、Uターン就職して田舎に帰りたいという方は、地元の企業をよく調べてから院へ進む方が良いでしょう。
専門性が高くない会社は、院卒を敬遠します。なぜなら高い給料を払って院卒を採用しても、やらせる仕事が無いからです。私も院卒が故に、地元へのUターン就職は失敗しました。(面接で、院卒はいらないオーラがヒシヒシと伝わってきました。。)
その後、落とされたの会社よりも規模が大きい都会のメーカーに就職するという、大学入試ではなかなかありえない逆転現象を経験しています。
理系でも博士課程まで進むのは慎重に
私は修士の時に共同研究をしていた有名大学の著名な教授から「博士から、ウチの研究室へ来ないか?」と誘われて、心が揺れた事があります。最終学歴をUp出来るな・・と。
ただその研究室には、他の国立大学の博士を卒業した研究者もいたのですが、その方がどうも微妙な感じで、いつも教授に怒られている姿を見て「自分もこんな風になるんじゃないのか? そもそも博士論文すら書けずに、いいように使われて年だけ取って、博士は中退する事になるんじゃないのか?」と思い直し、就職に舵を切りました。
正月に会った高校時代の友人が「修士まで行くと就職が良くなる。博士まで行くと就職が無くなる。」と言っていたのも判断材料となりました。
高校時代の別の友人で、京都大学を博士まで進んだ子がいました。博士号を取得した後、彼は大学の先生になる事を希望していたのですが、なかなか大学の教員枠に空きが出ず、35歳位まで大学の先生になる事は出来ませんでした。
また別の博士まで進んだ高校時代の友人は、博士論文が通らずに博士課程を中退した後に、民間の会社へ遅めの就職をしました。
特に実験系の研究室は人手不足なところが多いので、修士の方は博士に誘われる事もあるかと思います。ただ、その時は冷静に「この先生は、ただ人手が欲しいだけではないのか?」,本当に自分の能力で博士論文まで書き上げる事ができるのか?」という事を考えてみてください。
博士まで進むと、大学の先生になるか、大手企業の研究室に入るか、理化学研究所のような研究所に研究員として入るかという選択肢くらいしか無くなります。その選択肢からあぶれた人は、期間限定の研究員(ポスドク)として、定職の研究者ポストに空きが出るまで薄給で研究所を彷徨う事となります。
なので、余程自分のスペックに自信があり、且つ自分は研究者として生きてくんだという強い信念がある方以外は博士まで進むのはやめておいた方が良いでしょう。
文系は基本的に大学院に行ってはいけない
文系は元々理系と比べ就職の難易度が高いのですが、修士まで行くと本当に就職先がなくなります。学問としてその道を極める、必ず大学の先生になるという位の気概がないと、やめたほうが良いでしょう。
私は文系の修士号を取った知人が二人いますが、一人は大学の非常勤講師で生活苦、もう一人は修士どころか大卒すらほとんどいない不動産の会社で働いていました。(現在は行方不明)
理系の博士もそうですが、進学して貧しくなってしまうのであれば、一体何をやってるのか本人達もわからなくなってしまうのではないでしょうか?
最後に
大学の先生は実力だけではなる事が出来ません。教員の空きが出たタイミングなど、運の占める割合が大きいです。
もちろん『ネイチャー』や『サイエンス』といった有名雑誌に論文が載れば、大学の先生になれる可能性は一気に高まるでしょう。ただ、そのような雑誌に論文を送るのは優秀な上に四六時中勉強しているような人達ばかり、要は競合が強過ぎるので、難易度は相当高いでしょう。
勉強して良い成績を取れば褒めてもらえる、世間に認めてもらえるのは、大学4年生までです。大学院以降は、社会の需要と自分自身の能力を良く考えて、慎重に判断する必要があります。
読者の方が周囲に流される事なく、10年後,20年後に後悔しない決断をされる事を祈念しております。本記事が判断材料の一つとなれたら幸いです。